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国立がん研究センターのがん情報サービスによると、日本では約74,000人が乳がんになり、これは女性の11人に1人の割合だそうです。ここ最近も芸能界で活躍されている、北斗晶さん、小林麻央さん、南果歩さんなども乳がんになった事を公表し話題となりました。

このニュースを聞いて特に女性の方は乳がんが怖いガンだと感じたのは、毎年人間ドックで乳がん検査をしているのにもかかわらず、乳がんが発見できない場合があると言う事ではないでしょうか。

乳がんは検診しても分からないならどうしたら良いのだろうか?など、乳がんの検査方法や治療法方法など、乳がんに関する疑問点をテレビ番組『ゲンキの時間』昭和大学医学部 乳腺外科の明石定子先生の解説のもと放送していました。その内容をまとめました。

検診は年に1回では不十分なんだろうか?

現在、主に行っている乳がん検診は、レントゲンのマンモグラフィと超音波のエコー検査です。

マンモグラフィ検査の場合、乳腺は白く脂肪は黒く映ります。実はガンのしこりも白く映ります。そのため、ガンの白いしこりが発見しにくいのです。マンモグラフィ検査は、ガンの初期段階の石灰化は見つけやすいのですが、しこりと乳腺が同化しやすくわかりにくいと言ったデメリットがあるんですね。

一方の超音波のエコー検査は、しこりは見つけやすいのですが、小さいしこりは良性か悪性かの判断が難しと言うデメリットがあります。ですので、両方の検査を受けるのが理想です。

もう一つ発見できない場合が、ごくまれなケースで進行が早いタイプのガンを発症してしまう場合です。一年の間で早く進行してしまうので発見が遅れてしまうのです。ですが進行性のガンは全体の1割未満の非常にまれなケースです。

また、乳ガンを発症しても早期に発見すれば、全体の8割~9割の方は治っているそうです。ですから乳がんは早期発見することがやはり大切。その為にも毎年1回の乳がん検診は行うようにしたいですね。

乳がんのセルフチックの方法

乳がんは自分でも見つけられる病気です。毎日お風呂に入る際にセルフチックを行うようにすれば、自分のカラダの変化に早く気が付くことができ早期発見につなぐことができます。

  1. 鏡の前に立ち、乳房の変形・左右の違い・腫れ・えくぼのようなひきつれ・乳頭のただれなど、変化がないか観察しましょう。
  2. 4本の指の腹で乳房全体を『の』の字を書くようにしこりがないか、右の乳房なら左手、左の乳房なら右手で調べましょう。

月に1回、生理の終了後に1週間以内に行うのがベストだそうです。

乳がんのしこりとはどんな感じなんだろう?

自分でセルフチックをする際に、乳がんのしこりを見つけるわけですが、乳腺が発達している人は、どれがシコリなのか分かりづらい場合があります。そこで、目安になる感覚があります!

スーパーでよく見かける板状のこんにゃくを購入して、その下にあずきの粒を隠します。上からこんにゃくを押すように触ってください。その感覚が乳がんのしこりに似ているそうです。

乳がんの進行度について

乳がんは進行具合の観点から大きく2つに分けられます。そもそも乳がんは母乳を作っている乳腺の器官のできるガンのことで、進行度を示す基準が2つあります。

  1. 非浸潤がん・・・ガン細胞が乳管の内側に留まっているので、ほぼ100%治癒でき命に心配はあまりありません
  2. 浸潤がん・・・・乳管の外へがんが広がり血液やリンパ節から全身の臓器に転移する可能性があります。

浸潤ガンのステージ

また、浸潤ガンの場合乳がんの進行度を表す目安となるのがステージです。ステージが大きいほど、がんの広がり大きく、命にかかわってきます。
ステージⅠ・・・しこりは2cm未満でリンパ節への転移はない状態。
ステージⅡ・・・ややしこりが大きい~大きい(2cm~5cm)、脇の下のリンパ節に転移あり
ステージⅢ・・・しこりが大きい(5cm以上)、広い範囲でリンパ節に転移がある
ステージⅣ・・・しこりの大きさは関係なく、他の臓器に転移がある場合。

乳がんの治療方法

乳がんの治療方法は、その人の症状によって違いますが、手術をしてガン細胞を摘出しても、その後も辛い闘病生活が続きます。

ステージⅠの患者さんの例

抗がん剤・・・半年
ホルモン剤・・・5年
経過観察の通院・・・3か月1回、5年間
検査・・・1年に1回 10年

乳がんについての疑問

男性も乳がんになるのか?
全体の0,5%、200人に1人の割合で男性も乳がんになっているそうです。
乳がんが発症するのには胸の大きさは関係ある?
胸の大きさは関係ありません。
乳房をとらなくてはならないのか?
がんの場所や大きさによって、温存できるか、全摘出かが決まります。
全摘出の場合は、新しい乳房を作り出す再建を選ぶことも可能です。
2013年7月から人工乳房インプラントを挿入するのが保険適用になりました。
乳がんになりやすい人はいるのか?
乳がんになりやすくなるリスクの要因があるそうです。

  • 血縁者に乳がん経験者がいる(リスクが2倍になる)
  • ⑤年齢が40才代以上
  • 未産・高齢初産など
  • 閉経をきっかけに太り始めた(脂肪細胞が女性ホルモン・エストロゲンの供給源となる)
  • 過度な飲酒を好む(お酒を分解する際にでるアセトアルデヒドに発がん性があると考えれれている)
  • 初潮が早いまたは閉経が遅い(女性ホルモン・エストロゲンにさらされているのが長いほどリスクが高いと考えられています。日本人の閉経の平均は53才、5年遅くなると1,4倍リスクが高くなる)

【参考:この記事は、TV番組『ゲンキの時間』より、昭和大学医学部 乳腺外科の明石定子先生の解説を参考にまとめています。】